心不全パンデミック
心不全パンデミックって、聞いたことありますか?
パンデミックといえば、感染症の爆発的な広がりを意味します。
新型コロナウイルスがまさしくそうでしたね。
そのパンデミックと心不全がかけ合わさった言葉。
私は、2021年に、循環器の医師から初めて聞きました。
高齢者は、加齢とともに、どの臓器の活力も落ちてきます。
高齢者の増加に伴い、心不全患者さんが大幅に増加することを、感染症患者の爆発的な広がりになぞらえて、「心不全パンデミック」と呼びます。
2025年には、65歳以上の人口が30.3%。75歳以上は13.0%に達すると言われています。
そして、心不全療養指導士という資格があることも初めて知りました。
薬剤師、看護師、栄養士、理学療法士など、様々な職種が心不全について学び、共通認識を持ったうえで、患者さんをサポートするための資格、ですかね。
持っているからといって、特に収入が増えるわけではありませんが、見ず知らずの方からも、心不全に関して、平均レベルの知識は持ち合わせているらしい、という信頼は得ることができるのかな、と思います。
試験が開始された翌年に、地域の薬剤師会に向けて、受験者のサポートをしてくださるとのことで、ご縁に乗っかりました。
循環器は苦手分野で、循環器の学びは、同じ病院に勤めてた心臓血管外科の先生から、心電図を教えてもらって以来でした。
心不全療養指導士認定試験ガイドブック
心不全療養指導士資格取得までの流れを、ざざっと説明しておきます。
心不全療養指導士認定試験ガイドブックがテキストになっているので、まず購入。
学会によって、会費から見た年度初めの時期が異なりますが、日本循環器学会は、4月1日始まりです。
4月に入会して、心不全療養指導士受験用のeラーニングを申し込むのがお勧めです。
7月末までに動画を見終わり、その受講終了証と一緒に、心不全患者さんに関わった5件の症例報告を8月上旬に提出。
11月に受験資格審査の合否が届き、12月の認定試験を受けて、3月に発表。
翌4月から、心不全療養指導士の資格認定証が発行されます。
私は、サポート医師の勤務先に所属する先輩心不全療養指導士に、症例報告のサポートをして頂きました。
そして、その年は、6月開催の第116回&第118回日本循環器学会中国・四国合同地方会のプログラムの冊子が送られてきました。
全て目新しかったことと、わざわざ冊子を送って頂いたので、お金を振り込んで視聴。
「超高齢社会における心房細動患者に対する抗凝固療法について」とか、エンドポイントについていつも悩むので、タイムリーな話題でした。
e-casebookカスタマーサポートがWEBのサポートをされていたので、その後、いろいろな講習会の案内が送られてくるようになりました。
動画講座は、家事をしながら、何度も繰り返し観ましたし、ガイドブックも何度も読み、他の勉強会で得た知識も全て書き込みました。
受験が終わると、ピンクの表紙の新しい版がでたので、ちょっとショックを受けてます。
水色の表紙の方では、ファンタスティック4についても触れられてなかったので、しょうがないっちゃ、しょうがないんですが。
ここでいう、ファンタスティック・フォーとは、映画ではなく、ARNI、MRA、SGLT2阻害薬、β遮断薬という心不全治療に用いる4種類のお薬のカテゴリーのことです。
医学の進歩には、ついていくのにお金が要ります。
循環動態アカデミー
e-casebookからの案内で知ったのが、循環動態アカデミー。
循環が分かる=そもそもの基礎が分かると、理解出来るんじゃないかと、参加させて頂きました。
循環については、スポーツファーマシストとしても、興味がありました。
気さくなお人柄の先生が多く、お話が分かりやすいので、すっかり先生方のファン♡
すごい先生方のお話は、聞くと分かった気になります。
理解しておられるからこそ、伝えるポイントが的確なんですよね。
朔先生とか、坂本先生は、心不全学会の動画でもお見かけします。
あ、このスライド、循環動態アカデミーでも観たやつだ♡と、オタク心理をくすぐられて、一人でも楽しく学べています。
2022年は、リアル視聴できず、ようやく最近になって見てます。
2023年のサマーキャンプまでには、見終わる予定・・・です。
ちなみに、何回聴いてても、聴いたことあるけど、覚えきれてない状態で止まっているので、毎回新鮮です。
U-40の心不全道場
心不全学会の学術大会が10月頃にあったのですが、12月の試験の前に役に立つと思うよと、教えて頂き、入会しました。
そこで、循環器の若手医師の集まり、U-40を知り、Twitterでフォロー。
そこから、更に、循環器好きの方と繋がることが出来ました。
U-40では、心不全道場で、コメディカルにも情報を発信してくださっています。
質問も受け付けてくださっていて、ちゃんと回答くださり、大感謝です。
12回、1000円とか、破格のお値段で。(※2022)
NSAIDsが心臓、腎臓に良い影響を与えない、また、心腎連関で片一方の臓器が悪くなると、もう片っぽの臓器も悪くなるって言われてますよね。
でも、その薬を切ると、立位保持が難しくなったりする方もおられて、どうゆうこと?と、思いつつも継続になっているケースがあったりします。
立位保持できなくなり、食べられなくなることの方が一大事だったりするので。
地域の薬剤師会の勉強会で質問しても、そもそも何で高齢者にそのNSAIDs使うの?おかしいんちゃうか?みたいな扱いになるんですよね。わかってない残念な人って扱いなのです。
U-40でも同様の質問をしたのですが、
まあ、使う人もいるよね。少なからず、飲んでいる人、いるよね。って寄り添ってからのご回答、嬉しかったです。
教科書通りにやってみても、調子崩す人もいるよねって。
2022年は、U-40心不全ネットワーク主催のフェローコースも、動画受講出来ましたが、2023年はリアル参加のみでした。
去年参加して、内容は高度なので、ちんぷんかんぷんでしたが、お話が聞けたことに感謝。
コロナ禍であればこその、僥倖でした。
処方提案について
再就職する場合、遅れた分勉強しないと!って頑張っちゃいますが、やりすぎても周囲についていけないんだなあ、と実感してます。
あんまり処方提案ばかりしてると、この職場にあってないんじゃないの?もっと違うところで、バリバリやった方がいいんじゃない?と言われたりします。
教科書通りの処方提案でうまくいく事もあるけど、薬だけじゃなくて、病態も関与している訳で、提案通りにしても、改善しないこともあります。
そもそも、薬剤師(私だけかも)は病気の知識とかあんま持ってないですし。
だから、チーム医療なんじゃないのかな?と思うんですが。
そして、痛み止めは、腎排泄型の薬剤なので、腎機能が落ちてきている高齢の方には、エネルギー療法もありなんじゃないかあって、現実逃避の妄想が入る訳です。
こんなことを、2年くらいぐるぐる続けていると、ついに、ついに、気になっている薬を、投与している全員に、中止すると言ってもらえました!
諦めモードだったけど、「諦めたらそこで試合終了です」のスラムダンクの安西先生の言葉が思い出され、バスケ部だった私は盛り上がったのでした。
心不全と緩和医療
心不全がステージDに入ってくると、身の置き所のない辛さを感じるようになる方もおられるといいます。
保険でも、心不全の方に、緩和医療としての麻薬の利用が認められるようになりました。
以前に住んでいた地域では、緩和ケアを受けられる施設がなく、地域に緩和ケアを!って活動をされている方と関わりがあったこともあり、独身時代から緩和ケアについても学んでいました。
これも、よく使われる麻薬は、腎排泄型薬剤。
心不全の緩和ケアでは、通常より、用量を減じて使われます。
エネルギー療法で、使用回数を減らすことが出来るのではないか?などと妄想してしまいます。
心不全療養指導士資格維持のための単位取得
資格は取るだけでは意味がなく、活用してこそ、ですが、正しい知識をアップデートしていくために、単位取得が求められます。
5年間のうちに、50単位と、5件の症例報告。
今のところ、2年目で17単位取得。
職場での体重測定も、月1回から増やしたいけど、ここは心不全の治療をしてるわけじゃないので、と言われちゃいました。
私も、単なるパート職員なんで。
現状維持だけでも、感謝かな。
介護保険施設で資格を取っても、役に立たないのでは?と思われるかもしれません。
それぞれの場所で、自分の持ち味を活かすことは、シームレスな地域ケアに向けての一助にはなるんじゃないかな?と思います。
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